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物語開始の時点では敵でも味方でもない、第三勢力に属する登場人物についてです。EP51 蠅の王国部分がカットされているのが残念でならない。というか、これが無いから悪に堕ちるというのが形骸化してるんだろうなぁ……。

ナバホ族

ネイティブアメリカンの人々で、ナバホ語を操る少数民族です。

コードトーカー

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スカルフェイスの協力者で寄生虫研究の第一人者。MGS3に出てきたジ・エンドの死体から寄生虫を発見し、自身の体を寄生虫セラピーによって超人化しています。そこらの兵士よりはよっぽど人間離れしているはずなんですが、劇中で戦うシーンは唯一スカルフェイスと争うカセットテープのみです。工作員のスカルフェイスよりは接近戦に強いらしい(奇襲だったので、絶対とはいえませんが……)。

劇中に登場するトンデモ兵器の多くに関わっており、声帯虫、メタリックアーキアを生み出しています。スカルズの特殊能力である硬化、透明化、酸化等々、彼によって生み出されたものは多岐に渡ります。

過去に小島氏の発言で、コードトーカーは過去作に登場済みと提言されていましたが、結局TPPの作中では何ものか分かりませんでした。あるいは設定変更によって無くなってしまった設定なのかもしれません(MGS4でサイボーグ化した雷電が、スカウトとしての技術をインディアンから習ったと言っていた気がするので、あるいはそれが彼なのかもしれませんが……)。

コードトーカーの過去については劇中で一通り触れられています。家族から引き離され、強制的にアメリカ人としての教育を受けさせられた彼は、密かに英語への復讐心を抱いていました。とはいえ、それを実行に移すつもりはなく、スカルフェイスに協力したのも、人質に取られてしまった同じ部族の仲間を守るためでした。

計画が最終段階に達したスカルフェイスにとって、コードトーカーは協力的ではない上に、敵に渡すと計画が筒抜けになってしまう重要人物でした。確かに警備はしていたようですが、正味殺してしまった方が早くて確実だった筈です。それなのに放置してしまったのは、彼がスカルフェイス同様に過去に傷を持つ復讐者だったからではないでしょうか。

クワイエット

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EP1から登場し、目を覚ましたヴェノムを襲撃してきたサイファーのエージェントです。あと一歩のところで先に目を覚ましていたビッグボスに妨害されて火だるまになり、スカルフェイスに施されたパラサイトセラピーによって一命を取り留めます。彼女の持つ超人的能力はそのときに獲得したものです。その際に声帯虫の英語株を植え付けられ、自分を火だるまにしたビッグボスへの報復のために活動し始めます。

ところがどういう考えに至ったのか、一度敗れたあとはヴェノムに協力的になります。あるいはスカルフェイスに言われたとおり、MSFに入り込んで声帯虫を拡散させようとしつつも、紙一重で踏み止まって、あれこれ悩んでいたのかもしれません。その辺りの事情はクワイエットの喋らないという設定故に描写が不十分でよく分かりません。彼女最大の謎はMSFの共通語である英語が喋れないのは分かるけど、筆談とかジェスチャーでなんとかしようとは思わなかったのか――ということですね。

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彼女はコードトーカーと同じナバホ族出身です。それ故に英語は喋れなくともナバホ語は喋れます。コードトーカーにナバホ語で話しかけられて始めて、いわゆる言語というものを口にするわけですが、ダイアモンドドッグズに籍を置くため、英語を絶対に話さないという決意だけは窺えます。恐らくですが、彼女はヴェノムに惚れていました。一緒にシャワーを浴びるくらいは惚れていました。雨の中でイチャイチャ、水遊びを始めたりします。MSFで声帯虫(キコンゴ株)が蔓延し始めた頃には、ひとり発祥を食い止めようとして、取り押さえられもしました。結局、お姑(カズヒラ)とは和解することなく終わりましたが、彼女のヴェノムに対する献身は明かです。

ゲスのエメリッヒのせいで声帯虫が変異したのちは、自分に寄生している英語株の危険性を考えて姿を消します。その際、ヴェノムを助けるために英語を喋ってしまいますが、ちょっと喋った位では影響ないとスカルフェイスが宣っているので、それが原因で命を落としたということは無さそうです。また時間切れで没になったと思われる核廃絶エンディングでは、ダイアモンドドッグスのスタッフとしてムービー内に登場しています。追い出されたエメリッヒや、EP51 蠅の王国で置き去りにされたイーライが映っていないことを見ると、予定ではのちのち還ってくるという展開だったのかもしれません。

ソ連

ヴォルギン

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MGS3に登場した敵役で、ビッグボスに対する復讐心から電気タイプから炎タイプに変わりました。なお、ヴォルギンはホモである(バイセクシャルでどっちもいける口)。

MGS3では穏健派のフルシチョフに対抗する強硬派の軍人として登場し、ザ・ボスの偽装亡命を受け入れた相手でした。ザ・ボスが手土産として持ち込んだデイビー・クロケット(核兵器)を使って用無しとなったソ連軍研究所を爆破するなど、味方に対しても容赦ない行動を取る狂人です。最後はビッグボスに敗れますが、どうやら意識不明のままで生き延びていた模様。

TPP劇中ではサイコ・マンティスの共鳴相手として長らく登場し、最終的には、その役割を子供同士でより共感しやすいイーライに奪われて退場しました。実際に退場するのはEP31ですが、このエピソードではムービーに登場するに留まるので、自分で操作できる戦闘としてはEP20 声の工場が最後になります。このEPの流れとしてはヴォルギンから逃げるというのが正道なので、中ボスと言うにはちょっと不完全燃焼な印象があります。

その後、活動を停止して再び昏睡状態に陥ったところをソ連軍に回収されましたが、ダイヤモンドドッグスが奪取してマザーベースに安置されることになります。この回収作戦のとき、ヴォルギンは最後の力でヴェノムに反撃をしかけますが、押し倒したところで彼がビックボスでは無い、別人であることに気がついて力尽きます。

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最後に見られる綺麗なヴォルギン

蠅の王国

イーライ達が武装蜂起の末に作り上げた孤島の領域です。イーライはここでビッグボスの遺体(殺して持ってこい)を要求しました。やってることがMGS1と変わってない……。

蠅の王国の元ネタは、昔の孤島サバイバル小説です。戦争から疎開する最中に発生した事故によって無人島に流れ着いた少年達が仲違いの末に凶暴性を発揮して……という暗い内容です。15少年漂流記と同じ舞台装置ながら、真逆のストーリーになっています。

イーライ

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後の時代ではリキッド・スネークと呼ばれているビッグボスの体細胞から生み出された存在で、彼にとって最大のコンプレックスになっています。TPP劇中でもビッグボスのファントムであるヴェノム、及び彼の周りに居る大人に対して敵意をむき出しにしており、最終的には大人の存在しない国、蠅の王国を作り出してダイアモンドドッグス、及びサイファーと敵対することになります。

その経緯については削除されたEP51 蠅の王国でその一端が見られます。TPPがちゃんとした形になった場合、アフガニスタン、アフリカに続く第三のオープンワールドマップ、及びスカルフェイスに続くボス格として立ちふさがることになったのでしょうが、残念ながら特典映像として残るに留まります。これによって子供を犠牲にしてしまったという面が出てくるので、カットされなければ煽り文句であるスネークが悪に堕ちるというセンテンスを裏切らずにすんだかもしれません。

話の経緯としては、エメリッヒが勝手に直したサヘラントロプス、燃えずに残った英語株の声帯虫を手中に収めたイーライが子供達を率いて武装蜂起を起こし、ダイアモンドドッグスから逃亡します。彼らは逃亡先で声帯虫を使うのですが、声帯虫には声変わりの起こっていない子供には感染しないという特徴があったため、大人だけを駆逐する生物兵器として機能しました。結果、完成したピーターパンの世界こと蠅の王国でしたが、その異常性からサイファーの攻撃を招き、それに対応するために進入したヴェノム・スネークによって崩壊へと至ります。子供から大人へと変わりつつあったイーライは声帯虫に感染済みで、生き残りの子供達を乗せたヘリが飛び立つなか、滅菌のために火の海となりつつあるジャングルに置き去りにされてしまいました。あわやこのまま還らぬ人となることろだったイーライですが、サイコマンティスの力によって一命を取り留めます(本当になんでもありやなぁ……)。イーライは「これで終わりじゃない」と捨て台詞を残して姿を消しますが、その後については推測するしかありません。

MGS1で登場したリキッド・スネークはMG2に登場したときの兵士の闘争を正当化しようとするビッグボスの考えに感化され、同調しています。また愛国者達と名前を変えたサイファーと敵対し、MSFでは仲の悪かったオセロットとは行動を共にしていました。オセロットは当時ソ連、サイファー、ソリダスに通じる三重スパイでしたが、リキッドのことを嫌っていたわけではないでしょう。恐らくは愛国者たちと敵対しているという部分では利害の一致を見ていたのでしょう。また老境に差し掛かったカズヒラ・ミラーを殺害したのもリキッドです。カズヒラはヴェノムを作り出して自分すら騙したというビッグボスの背信に対して、今までは憎悪していたサイファーの側に付くという行動を取っており、それが愛国者とは敵対していたリキッドの攻撃を招いたと思われます。ソリッド・スネークに親父は俺を選んだと言い放ったこともあり、ビッグボスとは何らかの和解があったと思われます。

ただ愛国者サイドからは終始ビッグボスとは敵対していると思われていたようで、ビッグボスが倒れた後のFOXHOUNDに入隊し、実働部隊のリーダーへと収まります。のちにシャドー・モセス島での蜂起に繋がる一幕です。MGS1ではソリッド・スネークと戦い、FOXDIEによて死亡します。

サイコ・マンティス

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MGS1に登場した超能力兵士がまだ子供だった頃で、サイコマンティスというコードネームがまだ与えられていないのか、劇中ではもっぱら第三の少年と呼ばれています。劇中での彼の扱いはというと、なんでもこなせる便利屋といったところでしょうか。ヴォルギンを目覚めさせ、未完成だったサヘラントロプスを動かし、火の中に消えるはずだった英語株を確保してイーライをサボタージュに向かわせます。サイコ・マンティス自身はまるで意志を見せず、誰かと協調して影のように動くだけですが、それによって物語の全体像に大きく関わることになりました。

サイコ・マンティスはEP1でヴェノムが目覚めたとき、偶然にも周辺空域にいました。飛行機の中です。ヴェノムの強い怒りに影響を受けて才能を開花させ、飛行機事故を発生させました。その事故についてはEP1の病室にあるラジオから聞こえてきます。その後、ヴォルギンに寄生した状態でキプロスの病院を襲撃してきます。これによってヴォルギン、XOF、ヴェノム達の三つどもえで戦いが発生しました。

彼を利用していたスカルフェイスが死んだ後はイーライに寄生し、子供同士のシンパシーから共存できるようになります。それまで操り人形だったサイコ・マンティスはイーライと協調し、お互いに協力するようになります。それの結果が幻になってしまったEP51 蠅の王国に繋がっていきます。というか彼が居なかったら、イーライは声帯虫によって死んでいたので、話が繋がらなくなったでしょう。

サイコ・マンティスはその後もイーライことリキッド・スネークと行動を共にし続け、MGS1でソリッド・スネークに立ちふさがります。こういう創作物ではよくあることですが、彼も大人になったら能力が劣化する人物でした。大人なになった彼はコントローラーをブルブルさせる一発芸の持ち主ではありますが。