The Evil Within 2 Screenshot 2017.10.17 - 04.47.42.89

私はクソゲー扱いされている前作サイコブレイクを結構評価しています。そんな前作を評価しているプレイヤーからすると残念すぎる続編。万人向けにはなったものの、ゲームとしてはありきたりすぎて個性が無くなってしまった……。

サイコブレイク2
  • サイコブレイク
  • 平易な内容にモデルチェンジ
  • 続編なのに規模がスケールダウン
  • 無理な方向転換によって違和感が残る
  • 前作プレイ前提の部分がどうしても発生する
  • リドルストーリーのなり損ない
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  • ロケーションの色使いに少し幅が出た
  • 映像的な演出に時間を取るようになった
  • ラスボスのデザインが良好
  • ありきたりな洋ゲーのキャラクターデザイン
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  • サイコブレイク
  • 耳に残るスコアがない
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  • サイコブレイク
  • 難易度が大幅に低下
  • スリルも戦闘の面白さも大幅に低下
  • ありきたりで没個性
  • マップ構成、イベントの工夫に欠ける
  • 安直すぎて戦略性に欠ける
  • 導入が長すぎてだれる
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  • サイコブレイク
  • 少しだけ自由度増化
  • ゲームとしてはコンテンツ不足
  • 敵のバリエーションに乏しい
  • AIの挙動が不自然
  • バグが多い!(本気で
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没個性な続編

決して万人向けとは言えなかったサイコブレイクの続編ではあるものの、本作はユーザーフレンドリーでまるで別のゲームになっています。悪かった点は改善されているものの、良かった点も軒並み喪失しており、前作をある程度評価しているプレイヤーには残念な続編になるでしょう。色んな部分が、露骨にスケールダウンしています。

あまりにも操作性が悪かったり、DLCのために省いた要素が大きすぎたりと、前作は目に見える欠点も多かったのですが、それを補うだけの個性やゲームデザインが存在しました。トライ&エラー前提になっている部分はあるものの、ピンチを演出するシチュエーション作りに心血が注がれていて、ジェットコースター的な面白さがありました。中だるみするぐらいにピンチの連続を作り出し、プレイヤーに攻略させるゲームらしいゲームになっています。それが万人受けしない原因にもなって、不評を浴びたきらいはあるのですが、それを改善するためのアプローチが全て無くしてしまえというのは本末転倒だと思います。カロリーを気にする人のために、味が悪くなるどころか、材料を無くしてしまったレベルの行為です。

結果として万人受けするだろう内容には成りましたが、ゲームのスケールと熱量には大きな隔たりが発生しています。安直な方向転換は多岐に及んでいて、オンリーワンの面白さや、ゲームに対する拘りみたいなものが微塵も感じられません。いくら敵を堅くしても、攻撃力をあげても、前作とは別ものです。サイコブレイクの続編というより、Fallout4のMODみたいな感じ。バグの多さやAIの残念さも、なんかそれを彷彿とさせます。ボタン連打したら異次元に吸い込まれるとか、デバッグが間に合わなかった感じか。

ストーリーに関して

リドルストーリーに徹していた前作と違って、本作ではごく普通のゲームシナリオになっています。明確な目的、明確な敵、明確な理由が示されていて、特に考える要素もありません。ありがちな父性と母性の対立構造、勧善懲悪に徹しています。問題はそれに至るまでの描写が陳腐すぎることで、リアリティが求められるジャンルとしては雑すぎます。敵も味方も小物だらけ。ガバガバ行動と、ガバガバ計画が嵐のように展開されて、謎の組織(笑)なメビウスの小物感が漂うばかり。竜頭蛇尾で尻すぼみな内容になっています。

新規に出てきた敵役は三人ですが、前作の敵役ルヴィクに比肩するような存在は無く、魔王と闘った後にそれより劣る幹部が出てきた状態。各々ルヴィクのような劇的な生い立ちもありませんし、行動理念も欲に駆られただけだったり、意味不明だったり、蛇足的なワンパターン行動だったりでドラマ性に大きく欠けます。二人目サイコパスがセバスチャンの記憶から、ラウラとキーパーを呼び出していましたが、それルヴィクがいくらでも生み出せる部下モンスターですから……。もうなんか、今更感が漂います。

ネタバレを避けるためにあえて触れませんが、前作をプレイした人にとっては肩すかしな内容になるでしょう。テーマがセバスチャンに移っているので、まぁ分からなくもないですが、前作プレイヤーが欲しかった部分は見事にスルーされています。スルーされすぎていて、逆に深読みしてしまうレベル。また最後の展開のご都合主義っぷりは、B級映画にしても酷すぎるんじゃないかと。

序盤にホラーっぽい部分を詰め込むだけ詰め込んで、あとは野となれ山となれという雰囲気が洋ゲーっぽいです。

総括

前作を評価しているプレイヤーからするとただの改悪作、評価していないプレイヤーからすると改善策になるのでしょうか。前作をやり込んだプレイヤーからすると、上回る部分が存在しないため、これを評価するのは難しいです。やり込むほどに評価が上がった前作から一転して、なんとも薄味な温野菜みたいな状態です。

どうもプロジェクトの終演としての作品を匂わせるので、続編が今後出るかは怪しいですが、もうちょっとワガママをしても良さそうな気はします。優等生だけど話しててつまらないヤツって感じのゲームになっています。白基調のロケーションなど、前作からの差別化もありましたが、精神世界題材であることを活かして、怖いオモチャの世界とか、色々はっちゃけても良かった気はしますね。続編と呼ぶには尻すぼみな結果に終わりました。